2013年09月28日

あまちゃん効果音楽界にも衝撃!挿入歌集、サントラ続々ヒット・・・nammyblog vol.112

 2013928日(土)、ここ近年では異例の話題となったNHK朝の連続小説「あまちゃん」が最終回を迎えた。東北、北三陸の海で海女さんを目指すヒロイン天野アキが挫折を繰り返しながらも地元アイドルへと成長する奮闘記。脚本家は「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」などで知られる宮藤官九郎がオリジナルストーリー全156話を書き下ろした。宮城県出身である宮藤氏は「大震災をなかったことにできない」と苦言するも、物語の進行を壊すことなく、あの2年前の大震災を見事に「あまちゃん風」にアレンジし物語の一部として表現した。それは見ている側も重苦しい空気にさせないようにという宮藤氏なりの思いも込められているのが視聴者には十分伝わっただろう。なぜ彼のドラマが多くの人たちに魅了されるのか。それは私たちが送る日常に近い内容を物語にする、非現実的な物語「ドラマだからね〜」みたいな嘘くさいものではなく、「あ〜こんな場面普通にありそう」という気取らないストーリー、そして笑いを入れてちょいちょい面白おかしくアレンジする宮藤流の表現が現代の人々とマッチしていた結果なのだろうと個人的な感想だ。 主演を務めた能年玲奈、小泉今日子、宮本信子、尾身としのり、蟹江敬三、有村架純など天野ファミリーをはじめ、主人公アキの親友でもある橋本愛、北鉄関係の駅長を務める杉本哲太、副駅長の荒川良々、北三陸高校種市先輩演じる福士蒼汰に磯野先生を演じた皆川猿時。東京編では鈴鹿ひろ美演じる薬師丸ひろ子や音楽プロデューサー荒巻太一役の古田新太、マネジャー役の松田龍平、寿司屋の大将役のピエール瀧、喫茶「アイドル」のマスター松尾スズキ。アイドルヲタのカメラ小僧役の村杉蝉之介など色の濃い出演者ばかり。これだけ宮藤が所属する劇団「大人計画」のメンバーでもある松尾スズキや荒川良々、皆川猿時、伊勢志摩などが出演しているが、これまでクドカン作品を盛り上げてきた阿部サダヲが出演していないのは不思議でならない。 今回の「あまちゃん」効果はテレビ界だけでなく、音楽界にも影響をもたらせた。主人公の母親演じる小泉今日子が役名の“天野春子”名義で自身14年ぶりとなる新作「潮騒のメモリー」を7月にリリースした。

小泉今日子「潮騒のメモリー」.jpg

初登場
2位というここ近年では自身でも成せなかったいきなりのシングルTOP3 入りを果たした。これは19932月に記録した「優しい雨」以来20年半ぶりの快挙、TOP10入りは199411月の「月ひとしずく」(最高位7位)以来の大記録となった。役名名義での朝の連続小説関連の作品としては1996年後期に放映された「ふたりっ子」内で河合美智子が“オーロラ輝子”役として「夫婦みち/まごころの橋」を9611月リリース。初登場は発売から1ヶ月が過ぎた971/13付で97位に初登場、その後順調に上昇を重ね登場13周目の973/31付で10位へ、ドラマ佳境を迎え翌週には最高位となる9位を記録。累積売上は49.5万枚とNHK関連の役名義シングルとしてはヒット第1号であった。しかし、「あまちゃん」関連はこれで終らない。元々オープニングで流れる主題歌を起用しておらず、爽快かつ軽快なリズムで始まる大友良英によるサウンドトラックがドラマのオープニングを盛り上げる。このサントラがドラマ版としては異例のいきなり初登場5位でスタートを切った。なかなかドラマのサントラが売れない中での初登場5位、ましてやフジでもTBSでも日テレでもない、NHKでのドラマサントラがTOP5を飾るのは異例中の異例であった。サントラは3万枚売れれば大ヒットという土台をもクリアし、現在までに5.2万枚を売り上げている。勢いは止まらず「東京編」と題しサントラ第2弾としてもドラマ終了の10日前にリリースされ初登場12位を飾った。このドラマ、主題歌を設けない代わりに劇中で流れる起用曲が多いのも特徴の一つ。小泉今日子演じた天野春子の「潮騒のメモリー」ほか、主人公アキがアイドルとして所属したアメ横女学園芸能コースからは「暦の上ではディセンバー」、実はこの曲劇中内の役を演じたメンバーで歌われたものではなく、現在静かにブレイクの兆しを醸し出す「ベイビーレイズ」による新作でもあった。この曲は当初8/21に発売決定とニュースが飛び交い話題を呼んだが、何故かシングル発売は9/11に見送られ、配信が先行、そしてこの作品を含む主題歌・挿入歌集「あまちゃん歌のアルバム」に収録されてしまい、シングルとしての華々しいブレイクは逃したものの、初登場5位と自身では最高となるスタートを切った。なぜシングル発売が延期されたのかは不明だが(同時発売にパロったAKB48のシングルが重なっており問題が生じたか?)、結果同曲を含む「あまちゃん歌のアルバム」は遂にあまちゃん関連で成せなかったアルバムチャート初登場1位を獲得する事となった。

サントラ「あまちゃん歌のアルバム」.jpg

「潮騒のメモリー」「暦の上ではディセンバー」のほかGMT5の「地元へ帰ろう」や高歌「南部ダイバー」、アキとユイによる“潮騒のメモリーズ”バージョンの収録とドラマを観ていた人からはつい手に取りたくなってしまう1枚だ。いきなりの9/9付で7.4万枚で初登場1位、3週連続でTOP10入りをキープし、現在までに12.4万枚を売り上げた。欲を言えば最終回直前で歌声を披露した鈴鹿ひろ美役の薬師丸ひろ子。小泉今日子同様に80年代を盛り上げた功労者であり、再び“鈴鹿ひろ美”バージョンとしてのCD化も熱望したい次第である。 東北の復興を兼ねて大成功を納めた「あまちゃん」。名言「じぇじぇじぇ」も流行語大賞の候補にノミネートされる中、クドカンらしい素晴らしいドラマにめぐり逢わせてくれた事に感謝したい。
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posted by nammy at 13:09| 埼玉 ☔| ヒットチャート記録編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする