2013年02月21日

ヒットチャート初めて物語B<空白の未公開チャート1984年CD年間チャート編>・・・nammyblog vol.29

「ヒットチャート初めて物語」シリーズ第3弾。



過去の「ヒットチャート初めて物語」はこちら
第1弾
http://nammyblog.seesaa.net/article/322038188.html

第2弾
http://nammyblog.seesaa.net/article/323652484.html



CDは1982年(昭和57年)10月1日に世に誕生して30周年を迎えました。
世界初となるSONYと日立、DENONのCDプレーヤーの発売にあわせてCBS・ソニーとEPICソニーから50タイトル、日本コロムビアから10タイトルのCDソフトが世界で初めて発売されました。この中で最初に生産されたのはビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」で、世界初のCDと呼ばれています。

国内邦盤で一番最初に発売されたのは大滝詠一の「A LONG VACATION」。



大滝詠一「ロング・バケイション」.jpg



どちらも名作ですよね〜。

そんなCDが誕生してから1年4か月後の1984年2月6日付、それまでLPチャートとカセットテープチャートのみだったランキングに新たに「COMPACT DISCチャート」が加わった。
その売上枚数比率は当時のLPに対して1/10と今では考えられない低スタートだったのは以前にも綴った通り。
84年から始まったCDチャートであるが、何故か伏せられたまま売上公開がされていない1984年度のCD年間チャート。

チャートマニアならば当然ご存知かと思うが、オリコンの公表する「オリコンチャートブック」のCD売上枚数の集計範囲を見てみると1985年12月2日以降からの集計対象となっている。

「オリコン年鑑1985年版」(1984年の年間チャート総括)にも、「ALBUM CHART BOOK COMPLETE EDITION 1970-2005」にもこの1984年度のCD売上は加算されていないうえに公表されていない。
一体何処へこの数字は行ってしまったのか?
CDチャート初めてにして未公開の「空白の1984年度のCDチャート」を本邦初公開です。



◆1984年度(昭和59年)年間CDチャートTOP50
(集計期間:1984年2月6日〜11月26日/売上単位:1枚)


年間順位/アーティスト/タイトル/年間売上枚数/最高位
01位 マイケル・ジャクソン/スリラー(27,202/1位)
02位 サウンドトラック/フットルース(22,658/1位)
03位 大滝詠一/EACH TIME(15,859/1位)
04位 松田聖子/Tinker Bell(13,918/1位)
05位 松田聖子/Touch Me(12,750/1位)
06位 松田聖子/Canary(12,104/2位)
07位 中森明菜/メモワール(11,368/1位)
08位 松田聖子/plaza(9,415/3位)
09位 マリーン/ルッキング・フォー・ラヴ(7,915/1位)
10位 サザンオールスターズ/人気者で行こう(7,890/2位)

11位 ザ・スクェア/アドヴェンチャー(7,542/3位)
12位 中森明菜/ANNIVERSARY(7,265/1位)
13位 アバド、シカゴSo/ベルリオーズ 幻想交響曲(7,099/2位)
14位 松田聖子/SEIKO・TOWN(6,903/1位)
15位 ハイ・ファイ・セット/パサディナ・パーク(6,498/4位)
16位 小泉今日子/Absolut Best For CD(6,376/2位)
17位 アルエリッチ(Pf)/シューマン 子供の情景,クライスレリアーナ(5,923/4位)
18位 サウンドトラック/ゴーストバスターズ(5,561/2位)
19位 中森明菜/ポシビリティ(5,432/1位)
20位 薬師丸ひろ子/古今集(5,321/4位)

21位 スメターチェック、チェコPo/スメタナ連作交響詩「わが祖国」全曲スメタナ連作交響詩「わが祖国」全曲(5,080/1位)
22位 岩崎宏美/スペシャル・コレクション(4,978/3位)
23位 山下達郎/BIG WAVE(4,871/1位)
24位 高橋真梨子/Triad(4,399/1位)
25位 オフコース/YES-YES-YES(4,347/8位)
26位 小林麻美/CRYPTOGRAPH(4,120/2位)
27位 ガゼボ/幻想のガゼボ(3,977/4位)
28位 ウイリー・ネルソン/枯葉〜ハーバー・ライト〜(3,145/9位)
29位 ボブ・ジェームス/フォクシー(2,846/8位)
30位 佐野元春/VISITORS(2,826/5位)

31位 ポール・マッカートニー/パイプス・オブ・ピース(2,618/5位)
32位 中島みゆき/はじめまして(2,568/2位)
33位 ジャクソンズ/ビクトリー(2,540/4位)
34位 NENA/プラスティック・ドリーム(2,520/6位)
35位 ブレンデル(Pf),レヴァイン,シカゴSo/ベートーベン ピアノ協奏曲全集(2,161/5位)
36位 ジョージ・ウィンストン/ディセンバー(2,156/6位)
37位 竹内まりや/ヴァラエティ(2,045/4位)
38位 シュワルツ・コップ(S)他/ベートーベン 交響曲第9番「合唱」(1,961/3位)
39位 伊東たけし/ディア・ハーツ(1,822/4位)
40位 オフコース/The Best Year of My Life(1,809/4位)

41位 河合奈保子/デイドリームコースト(1,791/4位)
42位 キース・ジャレット/ケルン・コンサート(1,637/5位)
43位 前橋汀子(Vn),前橋由子(Pf)/亜麻色の髪の乙女(1,605/9位)
44位 小泉今日子/ベティー(1,587/4位)
45位 カルチャー・クラブ/カラー・バイ・ナンバーズ(1,504/8位)
46位 麗美/"R"(1,444/7位)
47位 ポリーニ(Pf),アックス(Pf)/シューマン 交響的練習曲,クライスレリアーナ(1,394/4位)
48位 ジョージ・ウィンストン/オータム(1,394/12位)
49位 サウンドトラック/ブレイクダンス(1,383/13位)
50位 リヒテル(Pf)/チャイコフスキー,ラフマニノフ「四季」「音の絵」(1,359/8位)


記念すべき初のCDチャート年間を制したのはマイケル・ジャクソンでしたね。
さすが「スリラー」、LP、カセットともに3部門での年間1位となりました。
しかし、CD年間トップで2.7万枚と出始めはホントに売れなかったんだなぁとしみじみ感じます。
生産枚数も少なかった分、コストもかかったのか1枚あたりが3500円〜3800円もしたわけです。
2枚組に関しては5000円と現代では考えられませんよね。普通に3枚組だったり、2枚組+DVDが付いちゃいます(笑)
それだけプレス枚数も少なかった時代で、デジタルユーザーが少なかった証拠ですね。

クラシック関連が年間TOP50内に8作品ランクイン、レコードと違って良い音質で聴きたいというユーザーのこだわりが伝わってきます。
特に年間21位の「スメタナ連作交響詩「わが祖国」全曲」は84.9/17〜84.10/1まで3週連続で1位を獲得するという快挙。
クラシック作品としてはなかなかない記録です。
さらに年間35位の「ベートーベン ピアノ協奏曲全集」は3枚組でなんと10000円!高額なセットでも2000セット売れたんですね。

松田聖子が年間TOP10内に4作品、さすがだ。
邦楽では大滝詠一がトップ。傑作「A LONG VACATION」に続く待望の新作ゆえに、サウンド的にも非常に凝った渾身の1枚。
7位中森明菜の「メモワール」はCDチャート記念すべき第1号となる84.2/6の週間1位作品。


こう見ると「和洋折衷」とはこの事をいうのかも知れない。

フォークソングにポップス、ニューミュージック、洋楽にサウンドトラック、クラシックと多種多様のジャンルが軒並み年間チャートにランクインしている。
何とも理想のヒットチャート、ぜひ現代もお手本にしてもらいたいものだ。

posted by nammy at 00:54| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ヒットチャート初めて物語編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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